【登辞林】(登記関連用語集)


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相当因果関係説 債務不履行における損害賠償請求の範囲や、不法行為の成立、犯罪の成立において要件とされる因果関係の範囲について、一定の範囲に限らなければ、広くなりすぎてしまうことから、社会通念上、相当であると考えられる場合に、その成立を認めるとするもの。民法上のものと刑法上のものは、必ずしも同一ではない。

双務契約 契約の当事者双方がともに対価的関係にある債務を負担する契約。売買交換賃貸借雇用請負等の有償契約の多くは双務契約であり、同時履行の抗弁権危険負担の規定(民法第533〜第536条)が適用される。(→片務契約

総有 共同所有(広義の共有)の一形態で、慣行上のもの。共同所有者は持分を持たず、自由な処分や分割請求はできない。入会権権利能力のない社団の有する財産はこれにあたるとされている。(→合有

贈与 当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって効力を生ずる契約(民法第549条)。諾成契約無償契約であり、贈与者のみが義務を負う片務契約である。書面によらない贈与は、履行の終わっていない部分につき、各当事者が撤回することが出来る(民法第550条)。動産の場合は引渡し、不動産の場合は引渡し又は所有権の移転登記を経ると、履行が終わったとされる。贈与者は原則として担保責任を負わないが、目的物又は権利の瑕疵又不存在を知りながら受贈者に告げなかった場合は担保責任を負う。特殊な贈与契約として定期贈与負担付贈与死因贈与がある。
個人が個人から贈与を受けた場合には、受贈者に贈与税が課税される。贈与税は、1月1日から12月31日の間に贈与を受けた財産の金額から、基礎控除の110万円を控除した額に課税されるため、1年間に贈与を受けた財産の額が110万円以下の場合は、原則、贈与税が課税されない。個人が法人から贈与を受けた場合は、所得税が課税され、法人が個人から贈与を受けた場合は、贈与を受けた法人に法人税が課税される。

総領事館 総領事を長として、領事、情報の収集・分析、広報文化活動等を行う在外公館(外務省設置法(平成11年7月16日法律第94号)第9条参照)。各国の主要都市に置かれる(在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律(昭和27年4月21日法律第93号)、別表1第2参照)。(→大使館)(→領事館

相隣関係 不動産の所有権について、近隣者との間でその利用の調整を図るもの(民法第209条〜第238条)。土地の所有者は、境界又はその付近において障壁又は建物を築造し又は修繕するため必要な範囲内で、隣地の使用を請求することができる(民法第209条)、等。相隣関係の規定は、地上権に準用され(民法第267条)、土地の賃借権ついては規定がないが、類推適用されると解されている。(→囲繞地通行権

続柄(ぞくがら)(→続柄(つづきがら))

俗字 通俗的に使用されている、正格でない漢字。戸籍事務において氏名に用いる俗字の概念は、平成16年に改正された平成2年法務省民二第5200号通達により整理され、漢和辞典で俗字とされている字等が掲げられている。(→正字

即時抗告 一定の期間内に提起することを要する抗告で、原則として、執行停止の効力を有する(民事訴訟法第332条、第334条、刑事訴訟法第422条、第425条)。法律上、即時抗告をすることができる旨が個別に規定されている場合に限って認められる(民事訴訟法第21条、第44条第3項、第71条第7項、第75条第7項、第79条第4項、第86条、第137条第3項、第192条第2項、第209条第2項、第223条第7項、第225条第2項、第257条第2項、第258条第3項、第287条第2項、第295条、第316条第2項、会社法第872条、第884条、第888条第4項、第889条第2項、第890条第4項、第5項、不動産登記法第108条第4項、破産法第9条、第21条第7項、第22条第2項、第28条第3項、第33条第1項、第34条第6項、第37条第2項、第87条第2項)。(→通常抗告)(→一般抗告)(→特別抗告)(→再抗告

即時取得 取引行為によって、平穏、かつ、公然に動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する(民法第192条)。「善意取得」ともいう。売買等の取引行為による必要があり、取引行為でない相続等による取得によっては、即時取得は認められない。「平穏」とは、暴行又は強迫によらないこと、「公然」とは、隠匿によらないこと、「善意」とは、取得前の所有者が無権利者であることを知らないことをいう。
対象は動産であるが、登記のされた船舶商法第687条)、建設機械(建設機械抵当法7条)等については、即時取得は認められない。債権については、原則、即時取得は認められないが、商品券、乗車券等の無記名債権は、動産とみなされる(民法第86条第3項)ので、即時取得の対象となりうる。金銭その他の物又は有価証券の給付を目的とする有価証券(商法第519条第2項)、小切手(小切手法第21条)、手形(手形法第16条第2項)、株券(会社法第131条第2項)、新株予約権証券(会社法第258条第2項)、新株予約権付社債券(会社法第258条第4項)、社債(会社法第689条第2項)について、各法に善意取得の規定があり、民法の規定に比べ、譲受人を保護する規定となっている。金銭については、即時取得は認められない。
即時取得する「動産について行使する権利」とは、所有権と質権である。即時取得された物が盗品又は遺失物であったときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失のときから2年間、その物を占有する者に対してその回復を請求することができる(民法第193条)。

租税特別措置法

組織変更 会社等の法人が法人格の同一性を維持しながら、組織を変更して他の種類の法人に変わることで、会社法上は、株式会社が合名会社合資会社合同会社となること、及び、合名会社、合資会社、合同会社が株式会社となること(会社法第2条26号)。合併などの他の企業再編手続と異なり、法人格の変動はないが、登記手続き上、組織変更前の会社については解散の登記をし、組織変更後の会社については設立の登記をしなければならない(会社法920条)。
不動産の登記名義人たる有限会社が、(会社法施行前)組織変更をして株式会社となった場合は、登記名義人表示変更登記をすることを要する(登記研究32号27頁)。
会社法施行後は、従来の有限会社は、株式会社(特例有限会社)として扱われるため、株式会社とする行為は、組織変更ではなく、定款の変更による商号変更となる。

損益計算書

損益取引 物の購入や販売等の営業活動で、資本を利用して企業の収益又は損失を生じさせる取引。(→資本取引(1))

尊属 血族のうち、自分より前の世代に属する親族のこと。父母・祖父母などを直系尊属、叔父・叔母などを傍系尊属と呼ぶ。直系尊属は、相続において、第二順位の相続権を有する。(→卑属

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